複雑なデザインの編み図をつくるとき、どうやって実現させるかを悩みます。解決策がみつからないときのエネルギー源は甘いお菓子。
2025年のバレンタインデー、スニッカーズの大袋をもらいました。必要なものを届けてもらえるって嬉しい。
チョコのほかにも、1冊の本を渡されました。「好きじゃないかもしれないけど、読むかなと思って」と。
『編むことは力』(ロレッタ・ナポリオーニ 著 /佐久間裕美子 訳/岩波書店)
著者の置かれている状況は、とても楽しいものではありませんが、書かれている内容には共感する部分が多く、新たに知ることもあり、ほぼ一気に読みました。
手仕事は家族のなかで引き継がれていくことが多いでしょうか。読みながら、私も祖母との思い出を振り返っていました。祖母と孫との関係は、母と娘のそれよりも時間的には短いですが、一世代飛ばすことで、祖母は孫に短く濃い愛情を注ぎます。今はもう会えない人を思い出すひとときとなりました。
編み物の歴史を調べたことがありますが、ここからはじまったという記述は見つけられなかったように記憶しています。本には「編み物はプロレタリアの手芸だから」世界中で行われていても歴史のなかで語られるものではなかったと……。第一次世界大戦中に著者の祖母や当時の女性たちは(ほぼ全員が!)戦地にいる家族のために靴下を編んでいたそうです。政府が兵士に支給する衣類が乏しかったから、それを補うために。
編み物は生きるために必要な手芸で、針と糸さえあれば、誰でもできるものです。
この冬、私は家族に靴下を編んでいました(今も、そして、この先の夏も編む予定)。幸いにして、戦地にいる者はいませんが、使う人を思って編む気持ちは似ています。
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20年ほど前に、クラウス・コルドンの『ベルリン3部作』(酒寄進一 訳/岩波書店)を読みました。
『ベルリン1919 赤い水兵』、『ベルリン1933 壁を背にして』、『ベルリン1945 はじめての春』の3部作は、ドイツを舞台にそれぞれの時代に生きた若者の視点から描かれています。
20世紀に起きた戦争は過去のことでも、歴史を知ることは過去の過ちの繰り返し抑止につながると思って(あまり読みたくない内容でしたが)読みました。3つの年号に100年を足すと、今は1部と2部の間。当時の人たちは世界恐慌のあとの「よりよき未来」を求めていました。
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3年前、「平和のために編むCAL」のお手伝いをしました。ウクライナの編み物作家さんのパターンを編みました。